和歌山県は、県産材を「紀州材」としてブランド化し、利用を促進しています。低層の公共施設の木造化は、全国でも高い数値を誇っています。また、観光地に木製のガードレールを設置するといった珍しい取り組みもしています。
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和歌山県有田郡の「きび森の保育所」は、有田川町が運営する公立保育所。町内の3つの保育所が合併して誕生した、定員250名のマンモス保育所です。園庭に沿って長く伸びる園舎は、木造トラス工法の平屋建て。構造材や内装材には地元和歌山の紀州材を使用しました。
先生の目が届きやすいのがこの保育園の特徴で、トイレも驚くほど開放的です。個室はありませんが、象の形をしたかわいい木製のパーティションが程よい目隠しになっています。この園舎の木材使用量は、157㎥でした。
和歌山県西牟婁郡の上富田町立岩田公民館は、林野庁の「林業・木材産業成長産業化促進 対策交付金」を活用して建設されました。災害時には避難所として使われることから、バリアフリーの平屋建てを選択。強度と耐久性に優れた紀州材が使用されています。また、壁のすべてとホール部分の屋根には、CLTが使用されました。
CLT工法のホールはアクセントにレールライトを使い、和室は真壁造りにシーリングライトという仕様。通路にはダウンライトを使っています。
県土の3/4が森林という和歌山県(※)では、紀伊半島南部で生産されたスギやヒノキを「紀州材」としてブランド化し、利用を促進しています。また観光振興を睨んで、高野山や白浜町といった観光地の幹線道路で、ガードレールの木造化が進んでいます。
同県では、「和歌山県木材利用方針」に基づいて、県が整備する低層の公共建築物は、原則木造とすることを決定。内装についても、木質化が推進されています。日経新聞の情報によると、公共建築物の木造化率は18.3%(2015~20年度の平均)と関西の中で高く、全国平均の12.9%と比較しても高い数値となっています。
全国の非住宅木造建築の状況
木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状。
このサイトでは、非住宅木造建築の構造設計から委託できる企業を紹介。中規模・大規模・環境配慮といった案件テーマ別におすすめ企業を選定しているので、ぜひ参考にしてください。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。