
動植物の構造や機能を模倣し、自然の仕組みを人間のモノづくりに活かす「バイオミミクリー」。とりわけ非住宅建築では、エネルギー消費の削減や快適な室内環境の実現、および環境負荷を抑えた持続可能な設計として注目が集まっています。
当ページでは、バイオミミクリーの特徴や実例を紹介します。
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自然界の仕組みや構造、機能などをヒントとし、人間のモノづくりに応用するアプローチがバイオミミクリー。建築や都市設計の分野でも注目を集めている考え方ですが、近年は特に非住宅建築分野において、その活用が進んでいます。
動植物が何百万年もの進化の過程で獲得した合理的な機能やデザイン。その特徴を応用することで、持続可能で快適、かつ革新的な建築が実現します。
以下、バイオミミクリーの主な特徴を3点ほど見ていきましょう。
自然界は、無駄のない効率的なエネルギー消費を回転させながら、何百万年にもわたりバランスが取れた生態系を保ち続けています。この自然界の歴史をバイオミミクリーとして建築に応用することで、資源循環や省エネ性に優れた建築が可能となります。
たとえばバイオミミクリーを応用し、自己洗浄機能や熱遮断性能を備えた外壁の設計手法が開発されました。動物の毛皮や植物の葉の構造をヒントとした外壁設計です。環境負荷を軽減させながら、建物のライフサイクル全体にわたり持続可能性を高める画期的なアプローチと言えるでしょう。
バイオミミクリーが特にその効果を発揮する分野の一つが、エネルギー効率の最適化。たとえば、後ほどご紹介するジンバブエのイーストゲートセンターは、シロアリの巣の通気構造をヒントに、空気循環効率を上げてエネルギー効率を高めた著名な建築物です。
ほかにも、サボテンの形状を模したSelf-Shading Wallの研究では、日射遮蔽と採光のバランスを調整することで、冷房負荷を減らす効果が一部で確認されています。
バイオミミクリーは、「構造設計」の分野にも革新的な発想を提供しています。
たとえばサンゴ礁。その軽くて強靱な構造は、これまでの構造設計にないヒントを建築分野にもたらしました。あるいは、葉脈のパターンを取り入れた耐震壁なども実用化されつつあります。
従来の直線的・一様な構造設計とは異なる自然由来の合理性と柔軟性。この発想の応用により、軽量かつ高強度、そして意匠性に富んだ木造建築が可能となりました。
自然の構造美を取り入れた「Tower of Light」。マンチェスター中心部に建てられたエネルギーセンターの煙突建築です。
骨や葉脈など、自然界に見られる軽量かつ強靭な構造から着想を得たその外装は、バイオミミクリーの優れた実例として世界中の建築家が注目。3Dロボティクスによって生成されたアルミパネルも、バイオミミクリーの構造美と機能性を両立させた発想として注目されています。
Tower of Lightは、都市景観に調和した再生可能エネルギー施設の象徴的存在として非常に有名です。
ジンバブエの首都ハラレにある「イーストゲートセンター」。シロアリの巣の自然換気システムを模倣した革新的な商業複合施設として知られています。
屋内の空調には、基本的に機械を不使用。自然の通気と熱制御により室温を一定に保つ設計が採用されています。
同規模・同地域の建築物と比べ、エネルギー消費効率で約30%の削減を実現。自然の知恵を建築に活かすバイオミミクリーの代表例として、世界中の建築家や環境設計者から注目されています。
非住宅建築におけるバイオミミクリーは、自然界の構造や仕組みを応用して省エネ性・快適性・持続可能性を高める設計手法として、今や世界中で導入が進んでいます。中でも、シロアリの巣を模倣した自然換気や熱制御技術は、エネルギー消費を大幅に削減した成功事例として知られ、すでに数多くの建築プロジェクトで活用されています。
自然に学ぶバイオミミクリー建築は、未来の非住宅設計における重要な選択肢の一つになるでしょう。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGER やUNITEAM 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。
【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=)