住宅を除く建築物は、構造部に鉄筋やコンクリートを用いるのが一般的です。一方、国は木造建築の普及・推進に取り組んでいます。本記事では、木造建築が推進される背景や普及の状況について解説しています。なぜ今木造なのかと疑問を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。
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木造建築が推進されている理由の一つとして、建築基準法の改正が挙げられます。2016年4月1日、CLT木材に関連した改正建築基準法の一部が施行されました。従来はCLT木材を構造部に使用する場合、構造計算と大臣の個別認定が必要でしたが、2016年の改正により、大臣の個別認定を受けることなく、告示に基づいた構造計算のみで建築可能になったのです。また、CLT木材の品質や強度、設計などに関わる内容も改正され、基準が明確になった点も影響しているでしょう。
森林の保護や循環を推進することも背景にあります。木材はリサイクルが可能な天然資源の一つ。しかし、適切に管理されていないと森林は荒れ果て、やがて木が育たなくなる恐れがあります。そのような事態を防ぐためには、適度な間伐と正しい育林が求められます。
問題は間伐材の利活用方法です。木材は一般住宅でも利用されていますが、森林保護や循環を推進するためには、中・大規模建築物への導入も必要です。森林は、適切な管理によって良好な環境が維持されます。そのため、建築物を木造化すれば、最終的に森林保護へ繋がるでしょう。
脱炭素化や、SDGsに向けた取り組みも関わっています。地球温暖化や環境破壊、資源の枯渇など、現代は非常に大きなスケールの問題を抱えており、これらの問題を解決するためには、二酸化炭素の削減や再利用できる資源の活用が求められます。
木造建築は、脱炭素化とSDGsの両方を推進できる手段です。木材は二酸化炭素の貯蔵源であり、建築資材として使用すれば、建築物に二酸化炭素を固定できます。適正な間伐によって若木が育ち、に二酸化炭素の吸収が促進されるだけでなく、木材は再生産が可能で、SDGsの考え方にも適しています。
木造建築は、循環型社会の実現に寄与する可能性を秘めていますが、建築コストが問題です。ありふれた素材ではあるものの、鉄筋やコンクリートに比べ、コスト面で優位とはいえません。特に中・大規模建築物の場合、CLTのように高強度の建築資材が求められます。しかし、CLTの工事費は1立方メートルあたり67,000円(2016年度時点)と、決して安価ではないのが実情です。
ただ、CLTは技術開発が進められており、さまざまな補助金が用意されています。補助金を活用したり、今後の技術開発が進んだりすることで、建築コストを削減できる可能性があります。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。