乳幼児が多くの時間を過ごす保育園や幼稚園に木材を使用することは、木の香りや手触りを通して触覚や嗅覚など五感を発達させる大切な役割を果たします。ここではそんなメリットのある、木造建築の保育園や幼稚園の画像つき事例を特徴とともに紹介しています。
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ヒノキを基本構造にした在来軸組み構法で、あえて配置した柱を園児たちが触りながら周囲を囲んで遊ぶことができる設計です。群馬県産の木材をふんだんに使用しており、壁や0〜1歳児の部屋にはやわらかいヒノキを採用。
また、手触りや温度の異なるさまざまな木材を配置して、その違いを園児たちが学ぶことができる工夫もされています。ほかにも柱や床に取り入れた伝統工法のぞうがんや、柱の割れ防止に入れたちょうちょう形のくさびなど、園児たちが探して見つけて楽しめるデザインを取り入れています。
延床面積1,560平方メートルの木造1階建ての保育園で、構造用木材には韮崎市内山林からのヒノキの間伐材を70%弱使用しています。主要構造部分や仕上げ材にも県産材が採用され、温かみがあり環境にも配慮した設計となっています。
部材寸法を小さくできるトラス構法により、地元の間伐材を使用し運送コストを削減。また同一断面の架構により、工期の短縮と容易な材料確保、14.56メートルの空間を無柱にし、工期、コスト、空間の確保を同時に実現しました。
2016年に竣工した、延床面積1,676平方メートルの木造平屋建の保育園です。村の子供が村の木で作られた保育園で過ごすことができるよう、木材の60%以上を川上村産のカラマツとし、さらに70%以上が長野県産という地産地消の木造建築を実現。カラマツは構造材や内装材にも使用し、ほかに県内の大桑村のヒノキや根羽村のスギも使用しています。
また地中熱とヒートポンプを採用して太陽光発電システムと併用した上、十分な長さの軒を確保して、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を作っています。
延床面積1,636平方メートルの木造平屋建の保育園です。構造用木材と内装材に、国産カラマツ集成材、各室の天井版や間柱などには琵琶湖材である県産のスギやヒノキ、交流スペースの壁面や保育室、廊下の腰板には同じく琵琶湖材の泰川産ヒノキを使用。木材使用により、構造体には力強さと美しさを、内装材には温かみを柔らかみを与えています。
主に国産カラマツの集成材を採用しているので、強度や品質の安定性が良く、無垢材と比較して材料が入手しやすいというメリットもあります。
延床面積487.72平方メートルの在来木造2階建ての保育園です。県産材のスギを一部に使用しており、敷地内の大木を残すように丸太柱が蛇行しながら連続する設計となっています。特徴は燃えしろ設計の柱と梁で、外部廊下周りは45分の燃えしろを確保。延焼の恐れのない部分には、木製建具や木製腰壁を採用したほか、外部の階段にも60ミリ以上のヒノキの無垢材を使用しています。
保育室内にもスギ材の腰壁を採用して、上部はおがくずの入ったクロスを用いることにより、やさしく落ち着きある空間を創り出しています。
幼保連携型認定こども園です。木造軸組み工法によるSE構法を採用。2階建ての建物になっています。既存樹木をシンボルツリーとして残しました。そのシンボルツリーを囲む円弧状のデザインが特徴的です。耐力壁をなるべく外壁に確保して内部の耐力壁を最小限に抑え、内部の非耐力壁を間柱で構成しています。曲線部分に特注金物を使用した多面体の設計です。
企業内保育園です。愛着を感じやすいよう木のぬくもりが感じられるデザインになっています。園庭を囲む扇形が印象的です。完全な扇形ではなく、直線の組み合わせで構築することでコストを抑えています。SE構法を採用し、大空間、大開口を実現。スパンの大きい空間も作っています。木材と高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現した設計です。
モダンなアパートのような外観ですが、定員60人の認可保育園です。戸建て住宅が広がる地域のため、景観との調和がとれるよう5棟のテラスハウスが並んだように壁面を分節しています。木造2階建て。1階は0歳と1歳の一時保育室を設けました。2階は2歳以上の保育室です。保育室前には深いバルコニーを設置して、西日を遮っています。
企業主導型保育園です。園舎を大きなひとつの塊としてつくるのではなく、4つの小さな家を連結した構成にしています。2つの保育室棟、病後児保育室棟、ホール棟です。同じ勾配で様々な方向に向けた勾配屋根を架けています。リズミカルな印象で元気の良い子どもたちをイメージさせてくれます。南北に2つの園庭を配置。飽きずに遊べます。
低く深い軒先を採用。伝統的民家の縁側のような空間を再現しています。軒天には地元の八溝御杉を使用。床材はヒノキです。園庭から縁側を介して保育室に直接出入りできるようになっています。室内は、梁や柱が剥き出しになっており、木のぬくもりを感じることが可能です。木漏れ日のように光が差し込む優しい空間になっています。
園児の快適性と安全性が最優先であることを、つねに考慮することが第一の注意点です。走り回ったり飛び跳ねたりと活動的な動きが多い園内施設が木造であることのメリットは、やわらかい木材を選ぶことにより、転倒時の衝撃やケガの程度を少しでも減少させられることです。
また木造ならではの温かみや感触は、園児がじかに触って歩いて感じるもの。小さなうちから地元の木材の感触を感じ育つことは、教育の上でも大切な要素となります。
言うまでもなく、木造建築における耐火性や耐震もしっかりと対策されていることが前提となります。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。