建築物を地震などの災害や、火災から守るためには、高い耐震性や耐久性、耐火性が要求されます。一般に鉄筋やコンクリートは耐震性などに優れ、木材は劣ると言われますが、CTL木材にも当てはまるとは限りません。ここでは、CLT木材の耐震性・耐久性・耐火性の3つについて解説します。
目次閉じる
CLT木材は高い耐震性を持つ建築資材です。CLTは、木の繊維が直交するように板を張り合わせ、強度を高めています。この構造により、力が加わっても変形しづらく、大きな地震にもしっかり耐えられる性能を実現しています。
日本の一般的な木造建築物は、制振装置や筋交い金物など、さまざまな工夫を凝らして耐震性を高めています。一方、CLT木材はそれ自体に強度があるため、建築物の耐震性向上にかかるコストを抑制できる可能性があるのが特徴。また、コンクリートに比べて軽量なため、建築物の自重を減らし、地震の影響を軽減できます。
CLT木材は、2015年に防災科学技術研究所が実験を行い、優れた耐震性を確認しています。この実験では、阪神淡路大震災の震度7より大きな力を加えましたが、倒壊しなかったことが報告されています。
CLT木材の耐久性は、一般的な木の建築資材と同等とされています。木材の耐久性は、主に水分量(含水率)や処理方法、メンテナンスによって決まります。CLT木材の場合、適正に処理を施すことで、耐久性の向上が期待できます。
例えば、CLT木材の木目を活かしたデザイン・構造の建築物は、少なからず現し部分が生じます。建築基準法では、現し部分の防腐処理などを義務化していないものの、防腐・防蟻処理を施すことで、耐久性を高められるでしょう。
また、CLT木材のメンテナンスを考慮して建築物を設計すれば、長期的な耐久性を維持しやすくなります。このように、CLT木材の耐久性は工夫次第で高められます。
CLT木材は、建築物の耐火性向上に寄与する可能性を秘めています。CLTのように、厚みを持った木材の板は、燃えると表面に炭化層と呼ばれる層を作り出します。炭化層は断熱性があり、内部の酸素供給を遅らせる性質があります。この性質により、木材の燃焼を遅らせることができ、高い耐火性を発揮できます。
過去に日本住宅・木材技術センターが行った実験では、CLT木材が燃える速度は1分間に1mmとの結果が出ています。また、90mmの厚みを持つCLT木材が1時間(60mm)燃えたとしても、壁が燃え抜けないことが確認されました。この実験結果からは、CLT木材が高い耐火性を持つことが確認できます。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。