数ある建築物の工法の中で、広く普及しているのがS造やRC造です。日本では、2010年代に登場したCLTとは異なり、古くからある工法ですが、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、S造・RC造のメリットやデメリットをご紹介します。
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S造は鉄骨造とも呼ばれる構造です。CLTは木材を使用しますが、S造は柱などの構造部分に鋼材(Steel)を使用しており、頭文字を取ってS造と表現されます。なお、使用する鋼材の厚みにより、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に区分されています。
S造は内装のレイアウトの自由度が高く、柔軟なデザイン・設計を可能にします。例えば、柱を細くすることで、広々とした空間を確保できるのが特徴。また、使用する鋼材には剛性があり、木造と比較して耐震性が高めです。軽量鉄骨造の場合、プレハブ工法で建築するケースが多く、工期を短縮できる可能性があります。コスト削減にも繋がるため、費用を抑えたい場合に適しています。
一方、S造のデメリットが遮音性の低さです。木造と比べると音を遮るものの、RC造よりも性能が劣ります。特に軽量鉄骨造は鋼材が軽く、振動が伝わりやすくなっています。遮音・防音性が求められる場合、重量鉄骨造にするか、RC造の検討が求められます。
また、耐火性も決して高いとはいえません。建築物の設計・仕様にもよりますが、安全性が求められる施設では、検討が必要な要素です。特に軽量鉄骨造の場合、構造部分が薄いため、火災で強度が急速に低下するおそれがあります。もしS造で建築する場合、難燃性素材や耐火性の高い素材を使うなどの工夫が求められます。
RC造は、柱や壁などに鉄筋とコンクリートを用いた構造で、鉄筋コンクリート造とも呼ばれています。マンションやアパート、オフィスビルなど、さまざまな建築物で採用されています。
RC造のメリットは、S造と比べて耐震性に優れること。引張強度の高い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートを組み合わせるため、地震にしっかり備えられます。ただし、鉄筋もコンクリートも経年劣化するため、定期的なメンテナンスと補修は不可欠です。
耐火性もRC造のメリットといえます。鉄筋は熱に弱いものの、不燃素材のコンクリートで覆われています。燃えづらく、S造ほど急速に建物の強度が低下することはありません。
RC造のデメリットはコストの高さにあります。S造と比べて部材の費用がかかるほか、工期が長いため、人件費が増加します。コンクリートは水分を含んでおり、建築後数年間は結露も起こりやすい状態です。結露を放置すると、建築物の強度が下がりかねないため、対策費用も考慮する必要があります。
また、RC造は頑丈ゆえに解体が難しく、増改築や解体費用も高くなります。将来のリフォームなどを視野に入れている場合、入念にコストをシミュレーションしましょう。
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保育園・図書館
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展示場・大規模ホール
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CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
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サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。