三重県では、県が管理する低層の施設を原則木造化・木質化するという施策を打ち出して、県産材の需要喚起を図っています。それと同時に、非住宅木造を設計できる建築士の養成にも取り組んでいます。
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三重県桑名市の「養泉寺保育園」は、木造2階建て。寄棟造の屋根は銅板葺きです。園庭を囲むようにコの字型に造られた園舎は、一見すると町屋のような雰囲気です。太い丸柱は三重県産のヒノキ材。ほかにも、差し鴨居、桁、力垂木、垂木に三重県産ヒノキ材が使われました。
園舎と園庭は縁側のような回廊でつながっており、園庭を挟んだ向かいの園舎の様子が伝わってくる構造です。遊戯室はトラス構造によって空間を確保しました。木の手触りや香りを感じ、自然の息遣いに触れてほしいという願いから作られた木造園舎。子どもたちは柱に抱きついたり寝転んだりして、自分なりの楽しみを見つけているとのことです。
三重県松阪市の住宅型有料老人ホーム「木家(ボッカ)」は、30名収容の個室タイプの老人ホーム。ログ工法木造2階建てで、使用された309.1m³の木材すべてが県産材となっています。
老人ホームは木の温かみや香りが感じられる建物にしたいという思いがあり、また地元木材産業を活性化したいという考えもあって木造を選択。RC構造と比較して建物の荷重が小さい木構造にしたことで基礎工事費が抑えられ、削減分を木材に回すことが出来ました。また、建物の一部に連続木柱に板材張り(準耐火構造)を採用したことで壁紙などの内装が不要となったことも、コストの削減につながりました。
三重県の県土の2/3は森林で、その6割以上が人工林です(※)。県産材の使用を促進するため、三重県では県が整備する低層の公共建築物を原則木造化するという「みえ公共建築物等木材利用方針」を制定。それと同時に、公共施設や商業施設などの非住宅の木造化・木質化に対応できる建築士を養成するべく、設計演習を開催しています。
ほかにも、「三重の木づかい条例」によって、日常生活や事業活動における木材の積極的な利用を推奨。生活の中にもっと木を採り入れることを、呼びかけています。これらの取り組みによって、三重県では毎年のように木造の教育施設や福祉施設が誕生しています。
全国の非住宅木造建築の状況
木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状。
このサイトでは、非住宅木造建築の構造設計から委託できる企業を紹介。中規模・大規模・環境配慮といった案件テーマ別におすすめ企業を選定しているので、ぜひ参考にしてください。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。