ジオデシック構造は、三角形を組み合わせて形成されるドーム型の建築手法です。軽量素材でも高い強度と安定性を発揮するとともに、広々とした大空間を可能にします。近年は木造非住宅建築にも応用され、その特殊形状を活かした設計の選択肢として注目されています。
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ジオデシック構造とは、三角形ユニットを組み合わせて形成するドーム型の建築手法のこと。軽量でありながら高い安定性を実現します。
特殊形状や大空間を必要とする施設に適し、木材の可能性を広げる設計技術として注目を集めているジオデシック構造。その特徴を解説します。
多数の三角形で構成され、外部からの圧力を全体に分散できる仕組みを備えています。そのため軽量素材を用いても構造体は安定し、変形や崩壊のリスクを抑えることが可能です。
木造の場合も同様で、細い木材を多数組み合わせることで耐久性を確保しながら、大規模空間に必要な強度を維持できます。
ジオデシックドームは球体に近い形状をしているため、空気が内部で循環しやすく、温度が均一に保たれやすい点も特徴。冷暖房の効率が高まり、エネルギー消費の削減に寄与します。
また、内部には柱をほとんど使用しないため、遮るもののない大空間を形成でき、非住宅建築で求められる開放的な設計に適しています。
ドーム形状のため、強風や積雪などの自然の力を効率的に受け流せることもできます。台風や豪雪が多いエリアでも安定性を保ちやすく、非住宅建築に求められる耐候性を備えています。
木造の場合は、美しい外観や断熱性の高さが魅力であり、防腐処理などの適切な施工を行うことで長期的な耐久性を確保できます。
三角形フレームをモジュール化できるため、工場でのプレカット加工が可能。現場ではこれらを効率的に組み立てることで施工が進むため、工期の短縮につながります。
さらに、デジタル設計ツールとの連携により、詳細な設計と高精度な加工も実現。施工精度の向上や品質改善が期待されます。
ジオデシックドームは、未来的でモダンな外観を持つことから、展示場や教育施設、公共施設など幅広い用途で採用されています。
曲面による独特の内部空間と開放感も特徴的で、利用者に特別な体験を提供します。機能性に加えて美観的な価値を兼ね備えた建築物として、地域において存在感を放つでしょう。
愛媛県松山市で建設された製材工場では、木造大スパン建築を可能にする「CLT媛トラス工法」が導入されました。
21mスパンを支えるヒノキ集成材のトラスを18体配置し、効率的な施工と高い構造安定性を実現。スギCLTによる耐力壁も採用することで、断熱性や意匠性も兼ね備えた施設へと仕上げています。地域材の活用とプレカット加工技術を組み合わせた代表的な事例として、非住宅木造の可能性を広げた建築物です。
参照元：愛媛県CLT普及協議会（https://ehimeclt.com/movie_jirei/）
愛媛県での視察会では、地域木材を活かした「媛トラス」と「ジオデシックドーム」の実例が紹介されました。
松山西中等教育学校第二体育館では、12mスパンの媛トラスを規則的に配置し、シンプルで強靭な屋根構造を形成。一方、WOOD GUIDE本社の屋根では、CLTを用いた半球状のジオデシック構造が採用され、独特の曲面デザインを形成しています。
三角形を組み合わせたドーム形状により、軽量でありながら強度と安定性を確保し、大空間を実現できるジオデシック構造。近年では、木造非住宅建築においてもその採用例が見られるようになっています。
木造非住宅建築で特殊形状・大空間を実現するための有力な選択肢の1つとして、今後もジオデシック構造は精密加工技術・構造設計の発展とともに採用が進むと見込まれています。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
展示場・大規模ホールの
依頼なら
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1（※1）を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
保育園・図書館の
依頼なら
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGER やUNITEAM 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
サステナブル施設・店舗の
依頼なら
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。
【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社（※2）のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物（ティンバラム）…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築（銘建工業）…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築（住友林業）…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元：銘建工業公式（https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/）2022年日本CLT協会調べ
※2参照元：一般社団法人日本CLT協会（https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=）