柔らかな木の感触やあたたかい色、さわやかな木の香りは、利用者だけでなく家族やそこで働く介護スタッフにもプラスになります。ここでは、木造建築の老人ホームや福祉施設の画像つき事例を特徴とともに紹介。木造建築の際に注意することも一緒に解説しています。
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延床面積840平方メートルの木造2階建て、住宅型老人ホームの事例です。利用木材のすべてが三重県産材で、構造材も造作材もすべて三重県産。高齢者住居施設に対する準耐火建築物条件をクリアするために、不燃材による被覆仕様、燃えしろ設計を使用した柱の採用、新工法の縦型ログの採用と、3つの仕様から構成されています。
また木に囲まれた快適な施設を目指しできるだけ木質化を行い、ヒノキの香り高い玄関ホールに始まり、居住室も床や壁に木材を使用。廊下には床と腰板、そして大径木から製作した燃えしろ設計の25センチ角の柱を配置。施設内のどこでも木の香りがする、やさしい空間となりました。
延床面積200平方メートルの、木造2階建てデイサービス施設の事例です。利用木材のうちおよそ72%が地元の大阪府産材で、樹齢60年以上のスギ材を使用しています。製材時にできる辺材を無駄なく有効活用するために、辺材は耐力壁や水平構面に使用するスギCLTのラミナ材などに利用。CLTの活用で、構造躯体がそのまま内装材となり、施工コストも低減できました。
さらに利用者が高齢者であることから、限りなく平屋に近い設計を心がけ、やわらかく温かみのある雰囲気にしました。災害時にも備えて、太陽集熱床暖房や雨水活用設備も導入しています。
延床面積897平方メートルの、木造軸組工法2階建ての福祉施設の事例です。主にJAS規格のスギとヒノキが使用されており、集成材にはスギとベイマツのハイブリッド材を採用。
一般的には鉄骨造が採用される外部階段も、加圧注入防腐処理をしたスギ材を利用して木造化を実現。障がい者就労支援施設という用途に合わせて、木材の温かみを活かした作りにしました。トイレの壁も木材で、内装はもちろん外装でも木製サイディングや、サーモ処理をしたスギやヒノキをバルコニーやアプローチに使用。館銘板も木製という徹底ぶりです。
延床面積971.54平方メートルの1階部分がRC構造、2〜5階部分がCLT木造の福祉ビルの事例です。利用木材のすべてが奈良県産材で、奈良のスギ材を使用した5層7プライのCLTパネルを構造躯体に使用。内外装を施した後は、39センチの厚みになり重厚感が出ました。
CLTは木の繊維方向を互いに講座するように重ねるので、断熱性や耐震性にすぐれています。冬季も暖かく、施設内の空気や湿度を調整して、利用者が快適に過ごせるような空間となりました。壁や机、イスも木材で、どの部屋でもスギの香りが漂います。
延床面積4,292平方メートルの耐火建築物と、934平方メートルの準耐火建築物(一部燃えしろ設計)の合計4棟から構成される、地上2階建て軸組工法の木造福祉施設の事例です。2階部分の面積を制限することで内装制限を受けない建物にして、木材をふんだんに使用しています。2階建て住宅建築と同じ工法なので、地元の大工が参加しやすい工事となりました。
廊下や柱はもちろん、天井や木の建具、紙障子の枠などさまざまな部分に木材を活用。スギの階段や手すりのほか、木製の浴槽や畳の廊下なども設置して、快適に過ごせる施設となっています。
安全性が最優先とされる老人ホームや福祉施設は、床面積によって建築基準法の耐火建築物と準耐火建築物に該当します。この部分をどの方法でクリアするかにより、その後の設計や、木材使用量や使用部分に大きく影響します。
また入居者の安全も考慮する必要があり、転倒時の衝撃を和らげる工夫や快適に生活できる設備、訪れる家族やそこではたらく介護スタッフへの環境も考慮することが重要です。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。