
モジュール建築とは、工場で製造されたユニットを現場で組み立てる工法のこと。そのイメージや工法は「プレハブ建築」に近く、両者が同一のものとして説明されることも少なくありません。
当ページでは、モジュール建築の特徴や施工の実例をご紹介しています。
目次閉じる
モジュール建築とは、工場で作られたユニットを現場で組み立てる建築手法のを指します。かねてから住宅建築では一般的でしたが、近年は非住宅建築でも広く見られるようになりました。
施工期間の短縮、コスト削減、環境への配慮などがモジュール建築の特徴とされていますが、他にも、設計の柔軟性や持続可能性、施工の効率化など、モジュール建築には様々なメリットがあります。
「規格化された建築の量産」というイメージのあるモジュール建築ですが、実際にはその逆です。標準化された多様なユニットを自由に組み合わせることで、用途や規模に応じた柔軟な設計が可能である点が、モジュール建築の大きな特徴の一つです。
たとえば、病院とホテルでは必要とされるレイアウトが異なりますが、様々なユニットの中から適切に組み合わせることで、病院もホテルも効率的に建築することができます。また、建物の用途変更にも柔軟に対応できる建築手法としても注目されています。
工場で精密にユニットを製造することで、建築現場での廃棄物を大幅に削減できます。また、使用済みのユニットに問題がなければ再利用も可能なので、資源の有効活用にもつながります。
かねてより環境負荷の問題が指摘されてきた建築業界ですが、ユニット建築の特長を最大限に活用することで、環境に配慮した持続可能な生産活動が実現可能となります。
工場でのユニット製造と現場での基礎工事を並行して行うことができるため、従来の工法に比べて工期を大幅に短縮させることが可能です。天候の影響にも左右されることなくユニット製造ができる点も、工期の短縮に貢献します。
工期が短縮した分、施設の早期稼働も可能となり、投資回収期間の短縮も実現。施設プロジェクトの効率化にもつながります。
延床面積1,007㎡もの広さを持つ食品店舗(スーパーマーケット)。ブラックを基調としたシンプル&スタイリッシュな外観は、地域でもひときわ目を引きます。モジュール建築の強みを活かし、施設内には無駄な柱がなく、広々としてスッキリとした印象を与えます。視界を遮るものがほとんどないため、店内の商品を広く見渡せるレイアウトになっています。惣菜の調理や肉・魚の処理を行うためのバックヤードスペースも、十分に確保されています。
延床面積136㎡の学童保育施設。切妻屋根の一般建築風に見えるモジュール建築です。施設内は木をふんだんに活かした温もりと明るさのある空間になっています。子どもたちが安全に体を動かせるよう、広々とした空間には不要な備品を一切配置していません。可変性を考慮したシンプルな設計により、将来的な用途変更にも柔軟に対応できる構造となっています。
柔軟な設計や環境への配慮、施工の効率化など、非住宅建築においても多くの可能性を秘めたモジュール建築。その可変性や再構築性の高さから、近年、モジュール建築はアダプティブ・アーキテクチャの観点からも注目を集めています。
今後は、VR/ARやAIとの融合により、モジュール建築の設計や施工プロセスがますます効率化・高度化すると考えられています。今後の建築設計において、モジュール建築が重要な選択肢の一つとなる可能性は十分に考えられます。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGER やUNITEAM 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。
【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=)