2016年に建築基準法が改正されて以降、日本で普及が進みつつあるCLT木材。さまざまなメリットを持つ建築資材ですが、デメリットもあります。ここでは、CLT木材のメリットとデメリットを中心に解説します。CLTの採用を検討中の方は参考にしてください。
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CLTは、クロス・ラミネイティド・ティンバーを略した言葉で、直交集成板とも呼びます。厚みを持つひき板を直交するように重ね合わせ、接着剤で圧着した建築資材です。
CLTと同じく、木材を圧着した建築資材に集成材があります。しかし、集成材は木の繊維が同一の方向を向いている(平行)のに対し、CLTは繊維が十字形に交わって(直交)います。このような構造の違いにより、CLTは軽量で強度のある建築資材となっています。
CLT木材はさまざまなメリットを持ちますが、中でも魅力的なのが設計自由度の高さです。鉄筋やコンクリートを用いるS造・RC造の場合、建築物の構造が箱型になってしまうことも珍しくありません。オフィスビルやマンションが代表的ですが、いずれも基本的なデザインは箱型です。
対するCLTは、パネルを組み合わせて建築物を造ります。パネルの厚みや長さを接着・接合で変化させられるため、凹凸のある大胆なデザインの建築物も設計可能です。素材の木目も活用すれば、温かみや落ち着きある空間を演出できます。
耐震性能や、耐火性能の高さもCLT木材のメリットといえます。木材は地震に弱く、燃えやすいと認識している方も少なくないでしょう。ただ、CLTに関しては必ずしも当てはまりません。
例えば、2015年に防災科学技術研究所が実施した実大の振動台実験では、阪神淡路大震災より大きな力を加えても、倒壊しなかったと報告されています。耐火性能についても、日本住宅・木材技術センターが実証実験しており、CLTは1分間で1mmしか燃えなかったとの結果が出ています。
森林保護・脱炭素化に対応できるのもメリットです。CLTに間伐材を使用することで、森林の環境が適切に整備され、新しい木々の成長が促進されます。また、CLTが二酸化炭素を固定し、新しい木々が二酸化炭素を吸収するため、脱炭素化も実現できます。
SDGsや脱炭素化に取り組む企業は多いですが、CLTの採用・推進も一つの手段です。脱炭素化や環境保護を進めたい場合、CLTを検討してはいかがでしょうか。
一方、CLT木材のデメリットはコストにあります。普及が進んでいるとはいえど、CLTは発展途上の段階です。技術開発は進んでいますが、気軽に採用できるとはいえません。
しかし、補助金を活用すればコストダウンが可能です。もしCLTの採用で迷っている場合、補助金の利用を前提にプランを作成するのもよいでしょう。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。