
脱炭素や環境配慮が求められる中、非住宅分野でも木造建築への関心が高まっています。政府や自治体は、公共施設だけでなく民間施設においても木材利用を促進するため、多様な補助金や支援策を拡充しており、活用しない手はありません。木造化によるCO₂削減効果や建築コストの最適化に加え、地域資源の活用など社会的メリットも大きく、持続可能な建築の実現に向けた重要な選択肢として注目されています。この記事では、非住宅木造建築に活用できる補助金について紹介します。
非住宅木造建築の普及を後押しするため、政府や自治体ではさまざまな補助金制度が用意されています。ここでは、地域の脱炭素化や再生可能エネルギー導入を支援する「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」と、より高度な脱炭素対策を対象とする「特定地域脱炭素移行加速化交付金(GX対応)」を中心に、制度の概要や対象、活用のポイントをわかりやすく解説します。
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金は、地方公共団体と民間事業者が連携し、地域特性に応じた脱炭素化を推進するための支援制度です。
主な対象者は地方公共団体で、民間事業者は自治体と共同で申請する形となります。補助金の用途としては、木造施設の建設、省CO₂設備の導入、再生可能エネルギー(再エネ)インフラの整備などが含まれます。これにより、地域の脱炭素化を加速し、持続可能な社会の実現を目指しています。
令和6年度の補正予算では、全国規模で36,500百万円が計上されており、地域ごとの創意工夫を活かした脱炭素先行地域づくりや、再エネ導入の加速化が期待されています。
参照元:環境省│脱炭素地域づくり支援サイト( https://policies.env.go.jp/policy/roadmap/grants/?utm_source=chatgpt.com)
特定地域脱炭素移行加速化交付金(GX対応)は、脱炭素先行地域における民間主体の脱炭素化を加速するための支援制度です。特に、マイクログリッドや自営線の構築、熱導管網の整備など、地域内でのエネルギー自給自足を目指す事業が対象となります。
また、脱炭素型施設の建設や木造化も積極的に支援されており、地域の特性に応じた柔軟な対応が可能です。
申請条件や補助金額は、事業内容や規模、立地などによって異なります。そのため、構造設計段階から最新の補助金情報をチェックし、専門企業と連携することが重要です。最適な支援を受けながら、地域の脱炭素化を加速することが可能となります。
参照元:環境省│脱炭素地域づくり支援サイト( https://policies.env.go.jp/policy/roadmap/grants/?utm_source=chatgpt.com)
非住宅木造建築物の構造設計には、高度な専門知識と多様な工法への対応経験が不可欠です。補助金制度の活用や地域資源の適切な利用も含め、計画段階から施工までを見据えた設計が求められます。そのため、構造設計に対応できる企業を選ぶ際は、単に設計力だけでなく、実績や工法対応力、地域特性への理解度なども重要な判断材料となります。
選定の際は、次の4つをチェックしましょう。
構造設計から施工までワンストップで対応できる企業は、設計と施工の連携がスムーズで、スケジュールやコストの管理が容易になります。また、現場での調整や変更にも柔軟に対応でき、建築品質の安定や工期短縮にもつながるため、非住宅木造建築では大きなメリットです。
CLTやKES構法など最新工法に対応できる企業は、耐久性やデザイン性を高めつつ、効率的な施工が可能で、先進的な木造建築の実現に強みがあります。
地域資源や脱炭素支援制度の活用経験がある企業は、地域材を効果的に取り入れつつ、補助金や交付金を活用して建築コストを最適化できます。これにより、環境負荷の低減と持続可能な建築の両立が可能となり、地域経済や社会的価値の向上にも貢献できます。
木材加工や調達ネットワークが充実している企業は、安定した材料供給と高品質な木材確保が可能で、工期短縮やコスト管理にも優れ、計画通りの施工を実現できます。
企業選定では、単に設計力だけでなく、工法や施工範囲、地域材活用の実績も踏まえて比較することがポイントです。CLTや金物、トラスなどの工法ごとの特性や、保育園・オフィス・倉庫といった実績事例を参考に、自社の課題や用途に最適な企業を見極めることが、効率的かつ持続可能な非住宅木造建築の実現につながります。
以下のページでは、CLT木材の補助金について解説していますので、参考にしてください。
補助金を活用する際は、設計の初期段階から補助金の要件に沿った設計や仕様を検討することが重要です。最新の補助金・助成情報は日々更新されるため、専門企業と連携して確認することで、適用漏れや申請ミスを防げます。
また、地域自治体が独自に実施する補助や木材利用支援制度も活用すれば、建築コストや環境負荷の最適化につながります。
補助金申請は設計事務所や施工会社のサポート体制を活用することで、手続きの負担を軽減し、効率的に申請を進めることが可能です。
非住宅木造建築物の設計・建設では、脱炭素や地域資源活用を推進する国の方針に基づき、補助金制度が充実しています。これらを戦略的に活用することで、建築コストの最適化や環境負荷低減が可能です。また、構造設計や工法の経験豊富な企業を選ぶことで、計画から施工までスムーズに進められ、持続可能かつ経済的な施設の実現につながります。最新の補助金情報は自治体や専門企業から随時収集し、事業計画に反映させることが成功のカギです。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
展示場・大規模ホールの
依頼なら
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意

CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
保育園・図書館の
依頼なら
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意

住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGER やUNITEAM 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
サステナブル施設・店舗の
依頼なら
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。
【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=)