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秋田県で非住宅木造を建てる

秋田県で建てられた非住宅木造建築の実例を集めてご紹介しています。秋田県内での地産材利用の状況などもまとめてみました。

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秋田県の地域材を使った
非住宅木造建築事例

秋田駅西口バスターミナル

秋田駅西口バスターミナル写真
引用元:JDN公式HP(https://www.japandesign.ne.jp/kiriyama/207_katsushi_nagumo/akita-bus-terminal/)

秋田駅西口バスターミナルは、地産材である「秋田杉」をふんだんに使って建てられた木造のバスターミナルです。秋田のスギは蓄積量が多く日本三大美林にも数えられます。厳しい気候のなかで育ち、美しさと強度を兼ね備えている秋田杉ですが、輸入材の利用が増えることで街中では見ることがあまりなくなってしまいました。そんな秋田杉の良さを再認識し、また秋田らしさを表現するためにデザインされたのが、この木造バスターミナルなのです。

ニプロ大館工場 企業内保育所

ニプロ大館工場 企業内保育所写真
引用元:木構造デザイン公式HP(https://tsdesign.co.jp/archives006/index.html)

秋田県大館市にある企業内保育所の実例です。大館市はいわゆる多雪地域で、積雪に対する強度が必要となります。これを木造建築で実現するために、さまざまな工夫がなされました。

採用された構造は「トラス構造」と呼ばれるもの。トラス構造は大空間に使われることの多い構造で、部材を四角形ではなく三角形に組み合わせることで高い強度を生み出します。内部は梁や柱が無垢のまま使われていて、風合いや手触りを楽しむことができるようになっています。

ニプロハチ公ドーム(旧・大館樹海ドーム)

ニプロハチ公ドーム写真
引用元:林野庁 東北森林管理局(https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/introduction/gaiyou_kyoku/annai/midokoro/midokoro_2016_03.html)

大館市の多目的ドーム。屋根架構は秋田杉の大断面集成材アーチトラスで、楕円形の大屋根が風雪の影響を受けにくい配置とされています。地域のスギ資源を活かした大空間で、スポーツやイベントの拠点として親しまれています。

屋根は透光性のある二重膜構造で採光と融雪に配慮。米代川流域の60年生以上の秋田杉を多数用い、地元工場で加工した集成材を採用した点が特徴です。

DOWA エコリサイクル新社屋(大館市)

DOWAエコリサイクル新社屋写真
引用元:AN DeSign & Associates(https://andsa.jp/works/head-office-odate/)

リサイクル企業の本社オフィス。木造(SE構法)・2階建、延床約641㎡。業務空間や会議室を木架構で構成し、働く場の快適性と環境配慮を両立しています。

「ウッドファーストあきた 木造・木質化建築賞」最優秀賞を受賞。産業施設における木造化の可能性を示す、非住宅木造のオフィス事例です。

にかほ市観光拠点センター「にかほっと」(にかほ市)

にかほっと写真
引用元:にかほ市観光協会(https://nikaho-kanko.jp/nikahotto/)

道の駅「ねむの丘」に隣接する、観光案内と飲食・物販機能を備えた木造施設。内外に秋田杉を多用し、訪れる人を木の温かみで迎える拠点として運用されています。無料の足湯や多目的室などが一体となった構成です。

観光情報は県内はもちろん庄内地域までカバー。地域の魅力発信と滞在促進を目的に、木質の空間で使いやすさと回遊性を両立させています。

秋田県の地域材の利用推進状況

秋田県の地域材の利用状況は、公共建築物の木造率の変遷を見ていくと増加傾向とは言えない様子です。国土交通省建築着工統計調査(各年度)のデータを元に林野庁が試算した資料によると、秋田県の公共建築物の木造率(延べ床面積ベース)は2017年は50.5%、2018年は25.4%、2019年では29.1%となっており、バラつきがあって増加傾向を見出せる状況ではありません。最近のデータが公表されていないので判断の難しいところではありますが、今後のさらなる木造建築の普及に期待をしたいところです。

2017年には「木材利用の促進に関する指針」が定められるなど、公共部門での木材の優先利用が掲げられていました。官民ともに今後は木造建築が普及していく可能性もあるかもしれません。

参照元:林野庁公式HP「都道府県別公共建築物の木造率の状況」【PDF】(https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/attach/pdf/220323-2.pdf)

全国の非住宅木造建築の状況

木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状です。
そこで、非住宅木造建築に対応できる企業選びがますます重要になっています。
構造設計に深い知見を持つ企業の中から、非住宅木造建築に対応できるおすすめの3社を「展示場・大規模ホール」「保育園・図書館」「サステナブル施設・店舗」といった建築物の種類ごとにご紹介します。構造設計から委託できる信頼の企業を厳選していますので、ぜひご参考ください。

参照元:e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/422AC0000000036)

非住宅木造の
構造設計から
委託できる企業3選

建築物別│非住宅木造建築の
構造設計から委託できる会社3選

非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。

         

展示場・大規模ホールの
依頼なら

大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意

銘建工業
大東建託 「ROOFLAG賃貸住宅未来展示場」イメージ
引用元HP:銘建工業公式HP
(https://www.meikenkogyo.com/works/2434/)

CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。

         

保育園・図書館の
依頼なら

広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意

ティンバラム
南三陸町生涯学習センターイメージ
引用元HP:ティンバラム公式HP
(https://timberam.co.jp/works/works-256/)

住宅用柱材に適したMIYAGAWAミヤガワ、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERフンデガー UNITEAMユニチーム 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。

サステナブル施設・店舗の
依頼なら


SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意

住友林業
物品販売店舗・事務所イメージ
引用元HP:住友林業公式HP
(https://sfc.jp/mocca/case/case03_07.html)

サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。

【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=