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栃木県で非住宅木造を建てる

栃木県で建てられた非住宅木造建築の実例を集めてご紹介しています。地産材利用の状況などもまとめてみました。

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栃木県の地域材を使った
非住宅木造建築事例

鹿沼市立粟野小学校

鹿沼市立粟野小学校写真
引用元:内田洋行公式HP(https://www.uchida.co.jp/education/case/awano01/index.html)

伐採から製材、加工、建設に至るまで、すべて地元の業者が携わり、地場産業の力を結集して建てられたのがこの鹿沼市立粟野小学校です。土台と床にはヒノキが使われていますが、そのほかは市内のスギを使用。なんとその数5,000本にも上るのだとか。

材工分離発注を行い、木材は地元粟野財産区から寄贈された木材を使いました。屋内の運動場は、大断面集成材の柱と無垢材のトラス梁構造し採用。一般に流通している部材と同じ寸法でたてることができました。

ふみの森 もてぎ

ふみの森もてぎ写真
引用元:ふみの森公式サイトHP(https://fuminomori.jp/index.php/institute-guide)

ふみの森もてぎは、栃木県南東部に位置する茂木町の公共施設。茂木町は町の面積の65%を山林が占めていて、木材の産出も多い街です。ふみの森もてぎは、そんな茂木町の中心市街地に複合文化施設として建設されました。

この町は、もてぎ上の城下町として発展してきた歴史があります。文化交流が多いこともあって、文化・芸術活動への熱量はあるものの、それを実現する場所がないということから、文化の発表・展示の場や図書館として使われることが目指されました。

道の駅 ましこ(益子町)

道の駅ましこ写真
引用元:TECTURE MAG(https://mag.tecture.jp/project/20200521-roadside-station-in-mashiko/)

田園と山並みに呼応する大屋根が特徴の公共施設。内部は土の左官壁と木架構が連続し、地域の素材感を来訪者に伝える計画です。市場やレストラン、情報発信機能を一体とし、滞在しやすいワンフロア構成としています。

最大スパン約32mの屋根架構には、町有里山の八溝杉を地元工場で集成材化して採用。梁断面を一定にし梁ピッチで調整する工夫により、地域材で大屋根を実現した事例です。

ひかり保育園(栃木市)

ひかり保育園写真
引用元:株式会社 時設計(https://tokisekkei.co.jp/works/works7075/)

住宅地に建つ木造平屋の園舎。中央のホールを核に年齢別ゾーンを配し、動線を明快に計画しています。屋根架構の現しや床・壁の木質仕上げにより、日常的に木の手触りと香りに親しめる園内環境を整えています。

高さを抑えた外観と園庭へ開く大きな開口が特徴。地域の日常に馴染むスケール感で、保育・交流の活動をやわらかく支える非住宅木造となっています。

茂木町立 茂木中学校(茂木町)

茂木町立茂木中学校写真
引用元:栃木県木材業協同組合連合会(https://tochiginoki.com/pages/34/)

町有林のスギ・ヒノキを活用して建て替えられた木造校舎。伐採・製材・施工に地元関係者が関わり、地域循環型の整備を実現しました。吹き抜けの多目的空間など、木質の内装が学びの場に落ち着きを与えます。

主要棟は木造2階(一部RC・S)で、町有林材を大量に使用。井桁状の架構採用や試験検証を経て、安全性と使いやすさの両立を目指しています。

栃木県庁(1階ロビー 木ルーバー/宇都宮市)

栃木県庁ロビー木ルーバー写真
引用元:栃木県木材業協同組合連合会(https://tochiginoki.com/pages/34/)

県庁1階ロビー正面壁に、県産材の象徴である並木杉(日光杉並木の杉)を薄板加工した木ルーバーを設置。来庁者を迎える顔として、県産材の魅力と木質空間の心地よさを伝える意匠としています。

大谷石の壁材と組み合わせることで、栃木らしい素材の対比が際立つ構成。公共施設での木質化と地域材PRをわかりやすく示す取り組みです。

栃木県の地域材の利用推進状況

栃木県では、公共施設の建築において、木材利用を促進するための「とちぎ木材利用促進方針」を2011年に制定し、2023年7月に改正しました。この改正により、脱炭素社会の実現を目指し、木材利用のさらなる促進を図ります。県内の全ての建築物での木材利用の推進や、県産木材の利用拡大を規定しています。

これらの木質・木造化において、地域材がどれくらい使われているのかは不明です。とはいえ、上でご紹介した事例のように県産材を使うケースもあると考えれば、地域材の利用促進も進んでいるのかもしれません。

参照元:栃木県公式サイト(https://www.pref.tochigi.lg.jp/d07/work/ringyou/kensanzai/29houshin.html)

全国の非住宅木造建築の状況

木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状です。
そこで、非住宅木造建築に対応できる企業選びがますます重要になっています。
構造設計に深い知見を持つ企業の中から、非住宅木造建築に対応できるおすすめの3社を「展示場・大規模ホール」「保育園・図書館」「サステナブル施設・店舗」といった建築物の種類ごとにご紹介します。構造設計から委託できる信頼の企業を厳選していますので、ぜひご参考ください。

参照元:e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/422AC0000000036)

非住宅木造の
構造設計から
委託できる企業3選

建築物別│非住宅木造建築の
構造設計から委託できる会社3選

非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。

         

展示場・大規模ホールの
依頼なら

大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意

銘建工業
大東建託 「ROOFLAG賃貸住宅未来展示場」イメージ
引用元HP:銘建工業公式HP
(https://www.meikenkogyo.com/works/2434/)

CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。

         

保育園・図書館の
依頼なら

広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意

ティンバラム
南三陸町生涯学習センターイメージ
引用元HP:ティンバラム公式HP
(https://timberam.co.jp/works/works-256/)

住宅用柱材に適したMIYAGAWAミヤガワ、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERフンデガー UNITEAMユニチーム 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。

サステナブル施設・店舗の
依頼なら


SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意

住友林業
物品販売店舗・事務所イメージ
引用元HP:住友林業公式HP
(https://sfc.jp/mocca/case/case03_07.html)

サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。

【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=