
非住宅木造建築を東京都内で建てることができる会社についてリサーチした結果をご紹介しています。各社の木造建築にはどんな特徴があるのか、事例を交えてご紹介していきます。また地産材を活用した木造建築もあわせてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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引用元:久米設計公式HP(https://www.kumesekkei.co.jp/project/0184.html)
江東区有明の臨海部に建てられた、小・中学連携校の校舎です。小学校と中学校、共用棟の3つを、中庭を囲むようにして建てられました。これによって小学校と中学校の間の交流が生まれることを狙っています。内外装に木が活かされていることはもちろん、屋上の雑木林やビオトープなど、臨海部でありながら里山のような学習環境をつくることに成功している事例です。
木材使用率は0.013平方メートル/平方メートルで、江東区が定めている0.008平方メートル/平方メートルを大きく上回りました。木材の公共建築への利用を積極的に進めた事例となっています。
引用元:神田明神文化交流館公式HP(https://www.kandamyoujin.or.jp/edocco/)
神田明神の創建1300年記念事業として建設された交流館です。「伝統と革新」というコンセプトのもと、木質化された空間、木のフレームが特徴づけられたデザインとなりました。木造建築という伝統を取り入れた一方、耐火木造という先端技術も活用された、まさに「伝統と革新」の建物と言えます。
室内のカフェや物販店舗の什器、ホワイエの柱や梁といった部分の木材は、多摩地区のスギ材を使用しています。太く特徴的な柱や梁は、和のテイストを強く感じさせるデザイン。神田明神の伝統を受けついだ建築となりました。
東京2020大会の体操会場として整備。屋根・外装・観客席に木材を積極活用し、新設会場として約2,600m³の木材を用いた計画です。湾岸エリアの立地に合わせ、来場者が木の質感にふれられる空間づくりが図られました。
屋根は全長約90mの木造アーチと格子状の木架構。大梁に国産カラマツ集成材、外装・観客席にスギ等を採用し、会場全体で木質の連続性を持たせています。仮設席材の再利用も検討されるなど資源循環にも配慮しています。
引用元:木材会館 公式サイト|建物概要(https://www.mokuzai-tonya.jp/mokuzaikaikan/about/index.html)
新木場に立地する組合の拠点施設。用途は事務所・集会場で、構造はSRC主体に一部S造・一部木造、地上7階・地下1階です。木材の魅力発信と利用拡大を担う場所として、都市部での木質空間づくりを実践しています。
ヒノキを中心に各階テラス天井・木壁、7階ホールの木梁など多部位で木材を使用。竣工は2009年で、使用樹種や部位の内訳が公開されています。素材選定と納まりの工夫が分かる、参考性の高い事例です。
引用元:住友林業 ニュースリリース(https://sfc.jp/information/news/2022/2022-06-29-02.html)
千代田区の木造3階・耐火建築。外部格子に多摩産スギを用い、自然光がやわらかく差し込む表情をつくっています。社会人教育や地域交流の拠点として計画され、街並みとの調和にも配慮した構成です。
構造・羽柄材の木材使用量は約111.85m³。純木質耐火集成材「木ぐるみFR®」やポストテンション耐震技術を採用し、都市の防火要件に対応しながら木造の利点を活かしています。
引用元:隈研吾建築都市設計事務所(プロジェクト紹介PDF)(https://www.kkaa.co.jp/img/2016/01/170207_KUMAP_eng.pdf)
八王子市の終着駅を2015年にリニューアル。木材を用いた大屋根が駅前にかかり、登山口の玄関口にふさわしい雰囲気を整えました。人の流れと景観をつなぐ装置として木質の存在感を生かしています。
大屋根は「日常」と高尾山の聖域の境界を意識したコンセプト。既存駅舎を活かしつつ内外装を木質化し、自然と都市をつなぐ駅空間へ更新された改修事例です。
東京都は、もともと非住宅の木造建築が多くはないエリア。国土交通省建築着工統計調査(各年度)のデータを元に林野庁が試算した資料によると、東京都の公共建築物の木造率(延べ床面積ベース)は2010年~2014年の間は1%台。それでも、2019年には4.2%になるなど、公共建築の木造化は進んでいることがわかります。一方で、地域材がどれくらい使われているかは不明ですが、上の事例のように多摩エリアで産出される木材は利用することが可能です。東京都の地域材利用促進のための施策には目立ったものはありませんが、今後も東京の山間部で産出される木材の活用が期待されます。
全国の非住宅木造建築の状況
木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状です。
そこで、非住宅木造建築に対応できる企業選びがますます重要になっています。
構造設計に深い知見を持つ企業の中から、非住宅木造建築に対応できるおすすめの3社を「展示場・大規模ホール」「保育園・図書館」「サステナブル施設・店舗」といった建築物の種類ごとにご紹介します。構造設計から委託できる信頼の企業を厳選していますので、ぜひご参考ください。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
展示場・大規模ホールの
依頼なら
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
保育園・図書館の
依頼なら
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGER やUNITEAM 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
サステナブル施設・店舗の
依頼なら
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。
【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=)