
大阪府では、府内産のスギやヒノキの「おおさか材」認証制度を設けているほか、公共施設の木質化といった事業を通じて利用を推進しています。府内産材を使った老人福祉施設や保育施設などの建築も進んでいます。
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引用元:一般社団法人大阪府木材連合会公式HP(http://www.mokuzai.or.jp/5-group/area/r-12.html)
大阪府泉佐野市にある「くすのき」は、介護老人保健施設と交流施設を兼ねた小規模多機能ホームです。構法は不明ですが、床や柱、外壁に大阪府産のスギやヒノキを使用。府産材の使用量は162㎥となっています。
老人福祉施設が重視するポイントのひとつに、歩行時や転倒時の怪我のリスクが挙げられます。コンクリート床と比較した場合、木製の床では高齢者が転倒した際の骨折リスクが1/10程度に抑えられるといわれており、怪我のリスクが低い建材であることがわかります。また、木造の建物からは温もりや優しさを感じられ、高齢者がリラックスして過ごすための施設に適しています。
引用元:一般社団法人大阪府木材連合会公式HP(http://www.mokuzai.or.jp/5-group/area/r-11.html)
大阪府富田林市の老人ホーム「春の家」は、府内産のヒノキとスギ81㎥を使用して建造されました。2階にある会議室の内装は、梁や束が現しになった大空間です。床一面と腰壁は無垢板張りになっており、勾配天井と壁は漆喰で仕上げられた、明るく開放感のある造りです。
同施設によると、木の家にノスタルジーを感じる人が多いため、木の癒しに包まれて安らぎのある生活を送れるとのこと。構造材が現しになっているので、木の香りがたっぷりと感じられそうです。
引用元:大阪府 公式資料(PDF)(https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/8363/hattoriryokuti.pdf)
公園利用者が気軽に集える木造(CLT造)平屋の休憩所。トップライトから光を取り込み、柱・ベンチ・テーブルを一体に設えた計画です。大阪府の設計コンペ「“あすなろ夢建築”公共建築設計コンクール」のグランプリ案を実作化した施設として整備されました。
屋根を支える“板のような柱”を実現するためCLT構造を採用。延床約75㎡、2023年1月竣工。柱がゆるやかな間仕切りとなり、自然と適度な距離感が生まれる休憩空間のモデルケースです。
引用元:一般社団法人大阪府木材連合会 公式サイト(https://mokuzai.or.jp/1-woodholl-element.html)
木材産業の拠点エリア「平林」に建つ木造2階建の会館。館内外で国産材を積極活用し、展示・交流・発信の機能を担います。木造ブレース構造と大黒柱の構成が特徴で、地域の木材利用促進のショーケースとして位置づけられています。
樹種はヒノキやスギなどを用い、直径約1mの飫肥杉の大黒柱が空間の要に。床・壁でのNLTの採用など、木質化の手法を幅広く示す施設です。
引用元:文部科学省 CO-SHA事例(https://www.mext.go.jp/co-sha/ideas/case_moriguchisakura_00001.html)
2校統合により新設された小学校。校舎中央のメディアセンターを核に、内装や什器へ木材を取り入れ「学校全体を木に包まれた学びの場」をめざした計画です。地域の交流施設や交番も複合し、日常的に人が集う拠点として機能します。
令和3年完成。普通教室前の「アクティブスペース」や特別教室前の「ラボ」など、多様な学習を支える余白を設け、木の質感と自然光が感じられる環境を整えています。
引用元:大阪市東成区 公式ページ(https://www.city.osaka.lg.jp/higashinari/page/0000649334.html)
区制100周年を見据え、庁舎1・2階の待合スペースなどを国産材で木質化。サインやカウンター、ベンチ等に木を用い、来庁者が落ち着いて過ごせる空間づくりを図りました。森林環境譲与税を活用したリニューアルです。
日常的に人が集まる行政窓口で木材のやさしい質感を体験できるようにし、公共施設での木材利用を分かりやすく示す事例となりました。
大阪府南部に広がる「河内林業地」はスギやヒノキの植林地で、ここで育った木は「おおさか河内材」として流通しています。河内長野市の「ウッドベースかわちながの」では、森林組合と設計士、工務店が立ち上げた「おおさか河内材利用促進ネットワーク協議会」が地元材や自然素材を使った建築に関する相談に対応。また、千早赤阪村にある「La Foresta(ラ・フォレスタ)」でも、府の森林・林業に関する情報発信を行っています。
また、「大阪府内産木材利用促進モデル整備等業務」によって、公共施設のカフェスペースやラウンジを府内産木材を多用したものに造り替える事業を進めています。
全国の非住宅木造建築の状況
木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状です。
そこで、非住宅木造建築に対応できる企業選びがますます重要になっています。
構造設計に深い知見を持つ企業の中から、非住宅木造建築に対応できるおすすめの3社を「展示場・大規模ホール」「保育園・図書館」「サステナブル施設・店舗」といった建築物の種類ごとにご紹介します。構造設計から委託できる信頼の企業を厳選していますので、ぜひご参考ください。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
展示場・大規模ホールの
依頼なら
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
保育園・図書館の
依頼なら
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGER やUNITEAM 等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
サステナブル施設・店舗の
依頼なら
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。
【選定条件】
2024/05/10時点、木造建築物を中心とした普及・発展の取り組みを行う「一般社団法人日本CLT協会」のHPにて、正会員かつ相談先企業として掲載されている35社(※2)のうち、構造設計を委託できる旨を確認できた19社を選定。
そのうち、建築物の依頼別に以下企業を選定しています。
・中規模建築物(ティンバラム)…HUNDEGGERなどのプレカットマシンを豊富に取り扱っていることから、空間に応じたマシンの使い分けが必要な中規模建築に適していると判断。
・大規模建築(銘建工業)…唯一、大規模建築に活用する大断面の木材加工を専門とした工場を持っていることから、大規模建築に適していると判断。
・環境配慮建築(住友林業)…サステナブル建築物等先導事業など新しい技術を取り入れていることから、環境配慮建築に適していると判断。
※1参照元:銘建工業公式(https://www.meikenkogyo.com/recruit/number/)2022年日本CLT協会調べ
※2参照元:一般社団法人日本CLT協会(https://clta.jp/partner/?this_partner_field%5B%5D=構造設計&searchText=)